雷ひ日本の気候は温帯に位置し、春夏秋冬の四季がはっきりしている。そのため四季の気象現象として現れる台風、大雨などが甚大な被害を及ぼすことがある。春から夏にかけては、梅雨前線が日本の付近に停滞し活発に活動するために多量の降雨をもたらす。夏から秋にかけては熱帯域から台風が北上し、日本の天気に大きな影響を与える。更に、日本は急しゅんな地形のために、川の勾配が急で、一たび大雨に見舞われると川の水量が増加し、洪水、土砂崩れなどの災害が起こりやすくなっている。風水害日本は、国土が大陸プレートと海洋プレートの境界にあるため、プレートの沈み込みによる境界型の巨大地震や、プレートの動きに起因する内陸型の地震、地表近くの活断層で岩盤が破壊されて起こる地震が多数発生する。また日本は四方を海に囲まれ、海岸線も長く複雑なために、地震に伴って発生する津波によって甚大な被害を受けやすい。地 震日本は、環太平洋火山帯に位置し、全世界の7%に当たる110もの活火山が分布している。これらの火山活動は周辺地域に温泉や美しい風景、豊かな水資源などの恵みをもたらしている一方で、噴火による火砕流や溶岩流、火口から噴出する火山灰、また噴煙が太陽光を遮ることによって起こる冷害など様々な火山災害を引き起こしている。火 山雪 害冬期にシベリアから吹き出す乾燥した季節風が、日本海に南から流れ込んでいる暖流とぶつかり大量の水蒸気を補給する。そして、日本海側の地域に大量の降雪・積雪をもたらし、都市機能の阻害や家屋の倒壊による人的被害などをもたらす。雲の中や、雲と地面の間で発生する大規模な放電現象である雷も、電力施設や送電線などへの落雷で大規模な停電を引き起こす場合がある。更に停電による交通網の麻痺といった災害を引き起こす。また、家屋への落雷、直接人へ落下することによって、火災、人命の損失などの被害をもたらす。林野火災原因としては異常乾燥などによる自然発火などがあるが、火の不始末やタバコの投げ捨てといった人為的原因によることも多い。解 説復旧・復興、被災者支援等のための法律がいくつも制定され、それぞれが法律の目的に応じて自然災害を定義している。例えば、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和26年)では「暴風、こう水、高潮、地震その他の異常な天然現象に因り生ずる災害」、公立学校施設災害復旧費国庫負担法(昭和28年)では「暴風、こう水、高潮、地震、大火その他の異常な現象により生ずる災害」とされている。 その後、平成25年に改正された災害対策基本法において、災害は「暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象(中略)により生ずる被害」と定義され、以後の災害に関連する法律ではこれに基づいた定義が採用されている。 例えば、災害弔慰金の支給等に関する法律(昭和48年)では「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波その他の異常な自然現象により被害が生ずること」と定義が改正されている。また、阪神淡路大震災後の平成10年に制定された被災者生活再建支援法第2条における自然災害の定義は、災害対策基本法をほぼそのまま踏襲したものに改正されている。●世界の災害の歴史 自然災害は日本だけでなく、地球上のどこでもいつ表1 日本で発生する主な自然災害主な災害 大規模な自然災害は大きな被害をもたらし、私たちの暮らしを一変させてしまう。まず、どんな自然災害が起こり得るのかを知ることが大切である。●自然災害とは 災害とは、「異常な自然現象や人的原因によって社会生活や人命の受ける被害」(『広辞苑』)のことで、このうち、自然現象に伴って発生するものを自然災害という。具体的には風水害(台風、大雨など)、地震、火山、雪害、雷、林野火災などを指す(表1)。 日本は地震火山活動が活発な環太平洋火山帯に位置し、地震の発生回数や活火山の分布数の割合などは、極めて高いものとなっている。また、地理的、地形的、気象的条件から、台風、豪雨、豪雪などの災害が発生しやすい風土となっている。 中でも地震やそれに伴って発生する津波は、大きな被害の原因となる。倒れた建物の下敷きになったり、津波にさらわれたりして人命が犠牲になるだけでなく、ライフライン(水道、下水道、電力、都市ガス、電話、通信)に支障を来し、道路や鉄道などの交通機関が分断される。 東日本大震災ではM(マグニチュード)9.0の地震が、大津波や原子力発電所事故を引き起こし、かつてない大規模な災害となった。●法律上の自然災害とは 日本には様々な災害の発生を想定し、防災や対策、721-1 自然災害とは
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