防災ノート_311を忘れない_高等学校
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平成17年 中野・杉並区集中豪雨川流域の2区13市、浅川流域の3市、江戸川流域の3区、利根川流域の2区、中川・綾瀬川流域の2区、芝川・新芝川流域の1区が、それぞれの川が氾濫する降雨を想定した洪水ハザードマップを公表している。●避難情報の発令 区市町村では、風水害による災害の発生やそのおそれがある場合、それぞれの河川の水位情報や気象情報などを総合的に判断し、住民が避難に要する時間を見込んだ上で、警戒レベル(P.48参照)を付して、避難情報を発令する。警戒レベル3[高齢者等避難]高齢者や障害のある方など、避難に時間を要する人とその支援者が避難を開始警戒レベル4[避難指示]避難が必要な全ての方が避難を開始警戒レベル5[緊急安全確保]すでに災害が発生、もしくは災害発生が切迫している状況 この段階で避難できていない場合は、自宅や近隣の建物内において、少しでも浸水しない高い場所や、少しでも土砂災害の危険が少ない場所など、安全な場所へただちに移動 日本には毎年多くの台風が襲来し、強風や大雨による被害をもたらしている。東京では河川の氾濫などの都市型水害に備える必要がある。●風水害の現状 東京都では、これまで昭和22年のカスリーン台風、昭和24年のキティ台風、昭和33年の狩野川台風などの大型台風による高潮、河川の決壊などで、東部低地帯を中心に大きな被害が生じてきた。 河川の改修や調節池の設置、防潮堤などを整備した結果、被害は減少しているものの、市街化の進行で雨水が地下に浸透しにくくなり、短時間に集中して川に流れ込む傾向が強まっている。また、地球温暖化やヒートアイランド現象等の影響ともいわれる集中豪雨等が頻発化し、中小河川の氾濫による都市型水害が発生している。 平成17年9月には台風第14号と秋雨前線が区部西部に100mm/hを超える集中豪雨をもたらし、神田川、妙正寺川、善福寺川などからあふれ出した水が中野・杉並区の約6,000棟に浸水被害を生じ、12年ぶりに災害救助法が適用された(写真)。●洪水ハザードマップの作成支援 東京都は、平成12年に東海地方を襲った東海豪雨を想定し、浸水が予想される区域とその浸水の深さを示した浸水予想区域図を作成した。これを区市に提供し、大雨で河川が氾濫した場合に備えて、地域の住民が迅速に避難できるよう、洪水ハザードマップの作成を支援している。 その結果、これまでに23区26市1町が域内の河川についての洪水ハザードマップを公表している(令和元年10月現在)。これを見れば、洪水時に浸水が予想される危険な区域、想定される浸水の深さ、避難場所や避難経路などの災害対応のための情報などが分かるようになっている。 この東海豪雨だけでなく、荒川流域の11区、多摩『江戸から東京へ』(都立高等学校地理歴史科用 東京都教育委員会発行) 東京を水害から守るため、歴史的にどのような対策がなされてきたかが『江戸から東京へ』に紹介されている。荒川や神田川の大工事の実例で、一つは大正2年から建設が始まった荒川の放水路、もう一つはそれから約100年後、中小河川の洪水対策として平成20年に完成した神田川・環状七号線地下調節池である。もう一つ、江戸時代初期の元和6年に開削された人工河川・神田川の存在を重ねると、江戸・東京がいつの時代も水害とたたかってきた歴史が浮かび上がる。1063-8 東京都の防災対策 風水害4-8 東京都の防災対策 風水害

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