第第四三章章防防災災対対策策12345火口周辺警報噴火警報きな変容を迫られた社会の中で、被災者が生活の変化にうまく適応するための営み」と定義して、震災復興のプロセスを提示している。(1)震災復興のプロセス[復興の目標と基本的視点] 復興のゴール(到達点)を被災者と共有するため、●東京都の噴火災害対策『協働と連帯による「安全・安心なまち」「にぎわいの 東京の島しょ部の21の活火山のうち、大島、利島、ある首都東京」の再建』という復興の基本目標を明確新島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島にはにし、次の五つの視点から復興を進める。住民が居住しているため、離島という特質に応じた対①自助・共助に基づく住民主体の復興と公助による支援策を講じる必要がある。②被災者の状況に応じた多様な復興プロセスへの対応 東京都の噴火災害対策は、過去の火山噴火災害の経③本格復興までの時限的な生活の場の確保験を踏まえた東京都地域防災計画(火山編)に基づい④平常時からの地域づくり活動への支援て策定され、毎年それらに添った総合防災訓練を、島⑤生活再建、都市づくり及び経済再建の連携による総しょ町村が合同で、火山噴火や地震、津波などを想定合的な地域づくりして実施している。●伊豆諸島の観測体制[復興のプロセス] 復興を円滑に進めるためには、地域の復興組織が立 東京都は伊豆諸島の各島(大島を除く。)に地震計やち上がり、地域住民の復興への意欲と復興のあり方へ傾斜計などの観測システムを設置し、火山の状態を観の合意形成からなる「共助」の仕組みに基づき、「地域測している。昭和61年11月に噴火した大島は、国や力を活かした協働復興」を進めることが必要である。大学等の研究機関が重点的に観測網を構築している。 都の観測データは気象庁に提供され、各島にある研(2)東京都の震災復興対策の取組究機関の観測データと相互利用されている。[震災復興に向けた体制の整備] 東京都は、阪神・淡路大震災における検証結果を踏●火山警報・予報 気象庁では、火山の活動程度に応じて、様々な情報をまえ、復興には共助の仕組みが大切だと認識し、新し発表するとともに、特に活動が活発な火山に対しては、い共助の仕組みを提案する「東京都震災復興マニュア避難行動等の情報を示した「噴火警戒レベル」を定めてル」を作成した。マニュアルは、行政担当者向けの復いる。都内の対象6火山については、平成19年12月興実務の手引書である「復興施策編」と、被災者の行に伊豆大島、平成20年3月に三宅島、平成30年5月動指針となるよう地域力を生かした復興を行うためのに八丈島及び青ヶ島、令和元年7月に新島及び神津島様々な仕組みを提案した「復興プロセス編」とから構成されている。に対して、下表のとおり噴火警戒レベルが定められた。 東京都は、地震により被害を受けた地域が東京都の地域内で相当の範囲に及び、かつ、震災からの復興に表1 大島・三宅島の噴火警戒レベル相当の期間を要すると考えられるような重大な被害を受けた場合に、復興本部を設置する。 本部は、被災後1週間程度の早い時期に設置するものとし、震災復興基本方針及び震災復興計画を早期に策定することにより、震災復興後の都市ビジョン、都民生活ビジョン、震災復興計画の到達目標、事業指針等を都民に明確に示すとともに、具体的な震災復興事業を推進していく。居住地域及びそれより火口側火口内等火口から少し離れた所までの火口周辺火口から居住地域近くまでの範囲の火口周辺火山活動は静穏。火山活動の状態によって、火口内で火山灰の噴出等が見られる(この範囲に入った場合には生命に危険が及ぶ。)。火口周辺に影響を及ぼす(この範囲に入った場合には生命に危険が及ぶ。)噴火が発生、あるいは発生すると予想される。居住地域の近くまで重大な影響を及ぼす(この範囲に入った場合には生命に危険が及ぶ。)噴火が発生、あるいは発生すると予想される。居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生すると予想される(可能性が高まっている。)。居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生、あるいは切迫している状態にある。(平常)(火口周辺規制)(入山規制)(避難準備)(避難)これを受けて、都、町村等で構成される火山防災協議会において、対象6火山の火山避難計画を策定している。 三宅島では、現在は二酸化硫黄の放出が減少しているが、「火山ガスとの共生」を基本的な考え方とした安全対策を確保するとともに、東京都と国、三宅村が一体となって復興対策を進めている。●避難体制 火山噴火災害が起こると、火砕物(噴石や火山礫)の降下、火砕流、火砕サージ(高温・高速の砂嵐のような現象)、火山ガス、火山泥流・土石流、溶岩の流出などにより、広範囲にわたって住民に危険が及ぶ可能性がある。また、地殻変動で地盤が変形して建物がゆがんだり倒壊する危険があるほか、噴火による空気の振動(空震)で窓ガラスが割れることもある。 したがって、噴火の状態によっては、関係機関の協力や借り上げにより船舶を確保して島外へ避難することもある。昭和61年に噴火した大島では全島民1万人が約1か月(写真)、平成12年に噴火した三宅島では全島民3,800人が約4年半にわたって島外に避難した。 日本の活火山111のうち東京都の島しょ部に21の火山が存在する。うち8つの島に住民が住んでおり、その安全の確保は重要なテーマである。(キーワード)レベル火山活動の状況住民等の行動及び登山・入山者等への対応予報警報噴火予報対象範囲※火山の活動状況に応じてレベルが変更されます。状況に応じて火口内への立入規制等大島:(三原山山頂火口から半径600m以内規制中。ただし、登山道・遊歩道を除く。)住民は通常の生活、火口周辺への立入規制等三宅島:(山頂火口から雄山環状線内側まで規制中)住民は通常の生活、状況に応じて災害時要援護者の避難準備登山禁止・入山規制等危険な地域への立入規制等警戒が必要な居住地域での避難準備、災害時要援護者の避難等が必要危険な居住地域からの避難等が必要1054-9 東京都の防災対策 火山災害
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