実態に即した被害想定へと全面的に見直した。 ◆ フィリピン海プレート上面の深度が従来の想定より浅いという最新の知見を反映した。 ◆ 津波による被害想定を実施した。●想定地震(表1) ①首都直下地震 関東地方ではこれまで200〜300年間隔でM8前後の大地震が起き、それらの前後でM7クラスの直下型地震が数回発生している。そのため、国の地震調査研究推進本部は、今後30年の間にM7クラスの地震が70%程度の確率で発生すると予測している。②海溝型地震 地震調査研究推進本部では、海岸地形の調査研究から、元禄型関東地震の平均発生間隔は2,300年程度と推定され、今後30年以内に関東大震災と同様の地震が発生する確率はほぼ0%とされている。③活断層で発生する地震 都内に存在する活断層である立川断層帯については、国の評価では、平均活動間隔は1万〜1万5,000年程度、発生確率は0.5〜2%とされている。表1 想定地震 平成24年、東京都は、東日本大震災を踏まえて、最新の知見に基づき、「首都直下地震等による東京の被害想定」を公表した(元禄型関東地震と立川断層帯地震の被害想定が加わっているが、本編では東京湾北部地震、多摩直下地震及び元禄型関東地震のうち津波について取り上げている。)。●想定の経緯と目的 被害想定とは、ある一定の条件の下、想定した地震が発生するとどのような被害が生じるかを推定し、防災対策の基礎資料とするものである。 東京都は、平成3年に関東地震の再来を想定した被害想定を、平成9年には「東京における直下地震の被害想定に関する調査報告書」を、平成18年には「首都直下地震による東京の被害想定報告書」を公表した。 平成24年4月、東日本大震災の経験を踏まえ、首都直下地震など東京を襲う大規模地震に対して、より確かな備えを講じていくため、新たに想定を見直し「首都直下地震等による東京の被害想定」を公表した。●東京都の新たな被害想定の特徴 ◆ 客観的なデータや科学的な裏付けに基づき、より●被害想定の前提条件 被害想定を行うには、地震の規模や震源など対象とする地震を想定しなければならない。東京都の被害想定では発生可能性が高く現実的なものとして、想定される被害が異なる3種類の特徴的なシーン(季節・時刻)を設定した(表2)。表2 想定するシーン(季節・時刻)●想定項目 東京都の被害想定では、まず、地震動(震度分布)、地盤(揺れやすさ、液状化など)、津波、建物の被害(全壊・半壊・焼失など)、人的被害(原因別の死者・負傷者数)、交通被害、ライフラインの被害、社会生活上の被害(避難、帰宅困難)など、防災対策を立案する上で、必要となる項目を設定している。●想定結果の概要(P82・83) 東京湾北部地震の方が多摩直下地震より被害が大きくなる。風速が同じなら朝5時より夕方18時の方が被害が大きく、地震が同じなら、風が強いほど被害が大きい。想定ではM7.3の東京湾北部地震が冬の夕方18時に発生し、風速8m/秒の場合の被害が最大になる。再検証首都直下地震海溝型地震種 類東京湾北部地震多摩直下地震追 加元禄型関東地震追 加活断層で発生する地震立川断層帯地震地震名規 模M7.3M7.3M8.2M7.4①冬、朝5時②冬、昼12時③冬、夕18時種 類・兵庫県南部地震と同じ発生時間帯・ 多くの人々が自宅で就寝中に被災するため、家屋倒壊による圧死者が発生する危険性が高い。・ オフィスや繁華街の屋内外滞留者や、鉄道・道路利用者は少ない。・ オフィス、繁華街、映画館、テーマパーク等に多数の滞留者が集中しており、店舗等の倒壊、落下物等による被害拡大の危険性が高い。・ 住宅内滞留者数は、1日の中で最も少なく、老朽木造家屋の倒壊による死者数はシーン①と比較して少ない。・ 火気器具利用が最も多いと考えられる時間帯で、これらを原因とする出火数が最も多くなるケース・ オフィスや繁華街周辺、ターミナル駅では、帰宅、飲食のため多数の人が滞留・ ビル倒壊や落下物等により被災する危険性が高い。・ 鉄道、道路もほぼラッシュ時に近い状況で人的被害や交通機能支障による影響拡大の危険性が高い。想定される被害の特徴801-5 首都直下地震等による東京の被害想定
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