防災ノート~災害と安全~高等学校版
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2 備えよう 5 避難所運営シミュレーション 避難所運営シミュレーション ボランティア班 事例カード グループで事例カードを読んでセリフの改善をしましょう。 ワークシートに書いてまとめましょう ワークシートの3に考えを書きましょう。 〈体験談1〉 健康面は自己管理 自分自身の健康状態を管理することもボランティアに必要な要素の一つです。若い方に多く見られたのが頑張りすぎてしまうボランティアです。体力に自信があるのか使命感が強いのか、全力で作業を続け、「疲れた」「きつい」と弱音を吐きます。その結果、熱中症で倒れて、救急車のお世話になる方もいました。これでは現場に迷惑だ。疲労に応じて休息をとることも必要でしょう。 〈体験談2〉 周囲からの冷たい視線 食事を配ったり、トイレ掃除をしたり、ボランティアとして働き出すと、休んだりやめたりするタイミングが難しくなる時がありました。疲れたから寝ていたいと思っても、「引き受けたのに何でさぼっているの?」という冷たい目で見られたり、「さぼるのならやらなくていい。」というように、感情的に言われることもありました。 〈体験談3〉 ボランティアの心得 東日本大震災では初めてボランティアに取組まれた方も多いと思います。「災害ボランティア」の仕事は、瓦れきを片付けたり、倒壊した家屋を片付けたりという力仕事だけではありません。支援物資の仕分け、子供と遊ぶ、避難所のトイレ掃除など、体力や経験がなくてもお手伝いできることがあります。被災者のために、自分ができることから始める、当たり前なことが大切なことだと思いました。 〈体験談4〉 ボランティアのニーズ 被災地では、現地の状況に応じたボランティア活動に取り組めるとよいと思います。例えば、①瓦れきの撤去や泥かきなどの「体力系」②お年寄りに対する傾聴、子供の遊び相手や学習支援などの「プログラム系」③カウンセリング、栄養指導、外国語や手話の通訳などの「専門系」の、大きく分けて三つの種類のボランティア活動が必要となります。 〈体験談5〉 嬉しかったボランティアの声掛け ある学生は「おはようございます。」「お手伝いできることはありませんか。」などと高齢者に声を掛けていった。避難所によっては、プライバシー保護の観点からパーテーションで区切っていることも多いです。そのため、高齢者などは閉じこもりがちになることもあった。ある避難者は、「親切だけれどかしこまらないので、とても話やすい」と訪問を喜んでいました。 〈体験談6〉 できることを「見える化」 どの団体にも得意分野と不得意分野があるはずです。学生団体のように「お金はないけど人数と力はあります。」という団体と、企業のCSRではできることは違うでしょう。団体の目的と得意分野を伝えていただくとこちらも具体的なお願いをすることができます。活動の目的と規模が分かると避難しているグループも頼みやすかったことを覚えています。 〈体験談7〉 話を聞いてもらったはいいけれど… 避難所には「お話し相手」というボランティアがいました。しかし、前の家族に聞いた内容を次の家族に話してしまう。話す側は、外部に漏れるとは思わずに話しています。ましてや、同じ避難所の中にいる人に話されるなど想像もしません。傾聴ボランティアには、話してよいことといけないことの教育をしてから活動に取り組んでほしいと思いました。 〈体験談8〉 がれきの一つ一つは被災者の思い出 瓦れきの撤去では、大きな家財道具だけではなく、家の隅から隅まで手作業で作業を進めていました。家族の写真が見付かると、一つ一つ「これは捨ててもいいですか?」とボランティアさんは確認してくれました。私は、捨ててほしいと答えましたが、「思い出の品なのかもしれないと思ったので。」と、声を掛けてくれました。温かい配慮をしてくださったボランティアさんのことは忘れられません。

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