防災ノート~災害と安全~高等学校版
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2 備えよう 5 避難所運営シミュレーション 避難所運営シミュレーション 衛生班 事例カード グループで事例カードを読んでセリフの改善をしましょう。 ワークシートに書いてまとめましょう ワークシートの3に考えを書きましょう。 〈体験談1〉 男女のトイレは1:4で用意せよ 女性は、トイレ占有時間が4~10分と、男性に比べて長いため、女性専用トイレの数は、男性用の4倍のブース数を確保する必要があります。また、女性専用の貼り紙をし、非常用ベルを設置するなど、安全体制を確保します。 〈体験談2〉 トイレは避難所における唯一の個室 「トイレをきれいにすることを学校避難所を運営するバロメータの一つにした。」「校内にいる約2千人の避難者の精神的な安定を図ろうとすると、どこか一箇所でも常にきれいにしておく必要がある。安心のできる個室は避難所ではトイレしかない。プライバシーも確保できてほっとしたい場所。トイレ空間をそういう場所にしたいと考えた。」 〈体験談3〉 トイレには一人で行くべからず 大震災時には、生活秩序が乱れ、混乱状態が続きます。その中で精神的なストレス、不安や娯楽等も少ない中での人間らしさを欠いた行動が起こりやすいものです。トイレは死角です。「悪臭と汚物の場所だから大丈夫。」というのは間違いです。特に、幼児を含む性に関した犯罪が起きないようトイレ空間での安全の確保と周囲の治安の安定に努めます。 〈体験談4〉 あっという間に消えた、350トンの水 とある中学校では、震災後三日目頃からプールの水(総容量約350トン)をトイレのふん尿を流す用水として使い始めました。でも、衣服の洗濯にも使ったためにプールの水量が激減して、結局、二日間しか持たなかったようです。 〈体験談5〉 水が止まってもトイレは流せる! 水が出ないとトイレが流れないんですよ。だから、みんなウンコの上にウンコをして、トイレットペーパー使ってもそのまま便器に捨ててるんですよ。それがどんどん溜まっていて。そのときに思ったんです、「これは人間の生活じゃねえだろ。」って。それで、外にはいっぱい泥水が溜まってたんで、じょうろで汲んできて、トイレを流してみたんです。そしたら、流れたんですよ。水道が止まっても水って流れるんだなって。 〈体験談6〉 トイレが大変!! 学校の中にある水洗トイレは、汚物を流す水が止まっていたため、プールの水を運んできて使っていました。プールの水がなくなりそうになると、大便以外は流さないというルールができました。トイレはすぐに詰まってしまうため、汚物を手で除去する仕事が必要でした。掃除に使う水もないため、不衛生な状況でした。 〈体験談7〉 トイレ掃除はだれがするの? 避難者は200~300人いた。「てんこ盛り」状態のトイレ。これを教職員が掃除していました。これを見ていた避難者が「これではいかん。先生にばかりにトイレ掃除させてはいかん。皆で何とかしよう。」と声を上げました。皆で話し合い、トイレ用水の水汲み、ごみの扱い、トイレ清掃等の約束事を決めました。 〈体験談8〉 トイレって本当に大事! トイレを自由にできない状況になると、トイレに行かないために食べなくなる方がいました。私もトイレが嫌で食べ物を口にすることを控えました。男性よりも女性の方が、その傾向が見られたかもしれません。女性は、「小」もできないので、水分も取るのを控える方がいました。震災は、「衣食住」だけでなく、「排出」も人間的な営みの一つであることを思い知りました。

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