高等学校版 防災ノート
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2 備えよう5ン35避難所の開設について避難所運営シミュレーション①避難所生活を想像してみましょう。夏休みが終わって、いよいよ通常授業が始まる...暑い。夏休み中よりもセミがうるさく感じる。厳しい残暑が続くお昼すぎの14時15分、強烈なめまいに襲われた。いや、めまいじゃない、地震だ!これが本当の地震なのか? 何もできない。机にしがみつくのがやっとだ。教室では悲鳴が悲鳴を呼び、さっきまでとは一転して恐ろしい空間になった。強烈な揺れはおそらく15秒くらいだったのだろう。地震だと気付いて、とっさに机の下に入り、悲鳴を聞きながら、ああ、死ぬのかもしれない、と思ったとき、ようやく揺れがおさまった。どうした? 放送は? 先生、何か指示出してよ。誰も何も言わない。先生も固まっている。教室の一角からすすり泣きだけが聞こえる。それは、まさか自分が体験するとは思っていなかった首都直下地震。東京都のほとんどが震度6強〜7の揺れにみまわれ、交通機関は完全ストップ、照明、冷房、水道、トイレ、電話、何もない生活の始まりだった。校庭を見下ろすと人のかたまりが4つくらいできている。いや、もっと大勢がこちらに向かってきている。そうか! 避難所だ。みんなこの学校に避難してきているんだ。家を失った人、家族を亡くした人、子供、お年寄り、外国人...、学校には続々と人が集まってきた。この学校で、避難所が立ち上がる。自分は、何をすべきなのか。泣いてばかりもいられない。動き出そう。学校を一番知っている自分たちこそが、避難所で運営に携わるべきだ。避難所で食料物資班として運営に携わることにした。避難所は、自宅避難が困難な人たちが集まり、ともに協力して過ごすための場所です。発災後に速やかに避難所の運営ができるようにするためには、開設当初から必要となる班編制について、事前準備をしておく必要があります。ここでは、以下のような班を想定し、避難所運営シミュレーションを行います。食料物資班物資の調達・管理、配給、炊き出し等庶務班情報班衛生班ボランティア班ボランティアの要請、受入れ、調整等災害の規模や自治体によって異なりますが、避難所はおおまかに、準備段階、初動(震災当日)、応急期(3日目まで)、復旧期(1週間まで)、復興期という流れで運営されます。その中で、「避難所サイクルの確立」や、「情報の取得・管理・共有」や「食料・物資管理」など、様々な業務を、互いに協力し支え合いながら運営することが求められます。避難者数等の把握、施設内の配置や利用者管理等連絡・調整の窓口、情報収集と情報提供、避難者名簿の作成等生活衛生環境の整備・管理、避難所内の清掃、感染症予防等

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